経営者の皆さんは忙しくて、勉強をする時間が取りにくいのが実態です。
そうはいっても、「ご存じなかったのですか?」などと社員から言われたくないものです。
「経営者のためのIT知識シリーズ」では、経営者の皆さんから実際に受けた質問をもとに、短時間で理解できるように、比較的少ない文字数で解説しています。
今回はDXとデジタル化の違いを中心に解説します。
◆DX(デジタルトランスフォーメーション)
DXとは、企業や団体がデジタル技術を活用して、経営や事業における変革を実現する取り組みをいいます。
デジタル技術を一言で表現した「デジタル(Digital)」と「トランスフォーメーション(Transformation)」を組み合わせた造語です。
最近ではさまざまなシステムを通じて取得した大量のデータの分析を加えることも必須とされています。
トランスフォーム(Transform)は、景色や街のような大きなものを一変させる、あるいは物や機能などを変形・変換するなどと訳されます。
組織であれば変革のレベルといっても良いでしょう。
デジタルトランスフォーメーションはスウェーデンのエリック・ストルターマン教授が自身の論文で用いたのが最初といわれています。
デジタル技術がビジネスや暮らしを一変させるという思いが込められているのでしょう。
◆デジタル化(デジタライズ、デジタライゼーション)
デジタル化はDXの手前の段階を指します。既存の業務やシステムにデジタル技術を導入する、AIを導入してデジタル化を図るなどです。
この段階ではデジタル技術を導入しただけで、ビジネスそのものの変革には至っていません。
例えば、コロナ禍にある私たちの暮らしにおいて、大病院が従来とおりのface to faceのリアルな診療に加えてオンライン診療も導入することはデジタル化ですが、
いっそのこと、オンライン診療のみとしてしまう、あるいは、オンライン診療を終えると自動的に支払いも終えて医薬品が自宅に届けられる、などような
ビジネスの在り方やモデルそのものの変革に至るのがDXです。
主要なデジタル技術は画像のとおりです。決してすべて覚える必要はありません。
◆DXは美しい言葉だが掴むことや辿り着くことは難しい
DXは美しい響きの言葉ですが、すぐに実現することはできません。意思を持って目指して行動する企業や団体のみが辿り着くことができる領域です。
そこで、重要なのは自らのビジネス、特に最重要と位置づける領域に置いて、貢献を果たすテクノロジーや人材は何かを見極めるということです。
それが、AIやIoT、あるいはARやVR、ブロックチェーンやビッグデータ分析などを利用することなのか、既に普及しているクラウドコンピューティングやモバイルを活用することか、
あるいは、デザイン思考を使いこなす人材、実直な見える化や業務分析に長けた人材など、親和性の高い人や技術を見い出した者だけが掴むことができます。
このように考えていただくと答えは意外と身近なところにあります。
もちろん相応の学習や知見、加えて経験が必要です。
◆まとめ
DXは段階を経て進めていきます。
最初はAIやIoT、あるいは簡単なRPAに始まる自動化でも良いでしょう。まずはそれぞれのゴールに向けて一歩を踏み出すということです。
ただし、成功裏に進めている企業の共通項として、クラウド化やごく一部であってもAIまたはIoTシステムの導入などが挙げられます。
本稿を参考にしていただいて、御社のDXの在り方をあらためて考えてみてはいかがでしょうか。