IoTシステムとは何か・わかりやすく解説

ラズパイAI画像認識

IoTシステムの概要
IoTシステムといっても、実際に見たことがある方は少ないと思います。
本稿ではIoTシステムのポイントをわかりやすくお伝えします。

小規模なタイプでは、アイキャッチ画像のようにカメラとAIを利用するものなどもあります。
IoTシステムは、はじめに基本的な物理構成から見ていくとわかりやすいです。
続いて、典型的な処理を見ることで、システムとしての概要を掴むことができます。

基本の物理構成
主にサーバー、ネットワーク、デバイスやセンサーの3階層から構成されています。

IoTシステムの概要
説明図:IoTシステムはこちら

3つの視点でシステムを見ると言い換えることもできます。
実際のシステムの設計や開発においても、この3つの分け方で進んでいきます。

比較的身近なIoTシステムの例としては以下などがあります。
・温湿度センサーで温度を取得して、ネットワークを経由して、クラウド上のサーバーで温度によって、エアコンやその他の装置の操作をする
・カメラで画像を取得して、ネットワークを経由して、クラウド上のサーバーで画像の内容によって、別のシステムを動作させる
・通信機能つきのドライブレコーダーから、クラウド上のサーバーに映像をアップロードする、などの例もあります。

3階層の概要
ここであらためて、3階層を整理しておきます。

デバイス:
各種のデータを取得する専用または汎用的なハードウェアで、スマートフォンのように通信機能がついているものもあります。
あるいはセンサーようにデータを取得する機能しか持たないものもあります。

デバイスやセンサーがIoTシステムの象徴的な存在であるともいえます。
一般的な業務システムはPCとサーバーで構成されますが、ここが大きく異なるポイントです。

ネットワーク:
デバイスとサーバーを結ぶ無線やインターネットを中心とするネットワークで、LPWAなどのようにIoTに特化したネットワークもあります。
LPWAはLow Power Wide Areaの略称で、省電力・広範囲のIoT向けのネットワークとして近年注目されています。

LPWA(Low Power Wide Area)の一覧
説明図:LPWAはこちら

サーバー:
フレキシブルな接続を可能にするクラウド環境のサーバーや、オンプレミスのサーバーもあります。

なお、より専門的に細かく見ていく場合には、デバイスの仕様やシステムにもよりますが、デバイス部分をゲートウェイとエッジに分けて5階層で考えます。

5階層で見るIoTシステムの構成
5階層では、図のように、下段に、(1)デバイスやセンサーを置きます。

IoTシステムの構成・階層構造
説明図:IoTシステムの構成はこちら

上段に向けて(2)ゲートウェイ、(3)エッジ、(4)ネットワーク、(5)サーバー(オンプレミス/クラウド)の順に配置しています。

それぞれのハードウェアの間には、通信手段が入ります。
通信手段は、(A)ゲートウェイ~デバイス、(B)エッジ~ゲートウェイ、(C)ネットワークの3箇所に位置します。
階層が下になるほど、無線通信を使う傾向があります。

既存のシステムをIoT化する場合などでは、企業内のイントラネットのネットワークを利用することも多く、オンプレミスのサーバーを利用することも普通にあります。
現実には、IoTといえども、クラウドと無線中心のネットワークに限定されているわけではありません。

典型的な処理の例
デバイスやセンサーでデータを取得してアップロードするというのは比較的イメージしやすいのですが、
わかりにくいのはサーバー側で何をしているかです。サーバー側で実行する典型的な処理の例を挙げておきます。
大半のIoTシステムではこれらの処理や機能を備えています。

IoTシステムの典型的な処理の例
説明図:IoTシステムの典型的な処理はこちら

◆分析処理:
センサーやデバイスがアップロードしたデータを分析して結果を表示します。
データの推移、期間内の最大値、最小値、平均値ほかがあります。

◆別の処理やシステムへの連携:
データの値や分析結果によって別の処理を起動する、あるいは別システムに連携します。
例えば、閾値を超えた値であれば担当者に通知する、ある湿度になったら換気扇を動作させるなどです。

◆データ保管:
データやログを保管する。
各種の分析のために保持することもあれば、顧客へのサービスとして一定期間保管することもあります。

エッジとゲートウェイ
専門的にIoTシステムに携わりたい方にとっては、エッジやゲートウェイに関する理解は必須です。

エッジ:
エッジは、サーバーで実行する処理を部分的に代行します。

IoTシステムのエッジの概要
説明図:エッジはこちら

デバイスやゲートウェイとサーバーの間にエッジを配備して、対応可能な処理を実行してサーバーやネットワークの負荷を軽減します。
データの削除や選別、メッセージング、AIとの連携などが代表的な例として挙げられます。

なお、センサーやデバイスから上がってくるデータが大量でなければ、無理にエッジを設置する必要はありません。
ただし、システムの拡張性を考えると、サーバー、エッジ、ゲートウェイの機能分担を考えておくことは適切です。

ゲートウェイ:
ゲートウェイは、異なるネットワークを接続するコンピュータをいいます。
IoTシステムのゲートウェイは、デバイス独自のネットワークからTCP/IPのネットワークに接続するコンピュータを指すことが多いです。
ゲートウェイの機能は、データ変換、データストア、データ送信の3つに集約されます。

IoTシステムのゲートウェイの概要
説明図:ゲートウェイはこちら

ゲートウェイは物理的には、専用のマイコン(通信モジュールとも呼ばれる)、PCやスマートフォン、センサーと組み合わされた装置(例:ドライブレコーダー)などがあります。

おわりに
ここまで、IoTシステムについて簡単に解説してきました。
IoTはデバイスやセンサーなどを通じて、目では見えない・人が感じ取れないデータや、遠く離れたところのモノの動きや状況なども把握することができる
とてもユニークなシステムです。

IoTシステム自体は決して難しいシステムではありませんが、サーバー(クラウド)やネットワークなどに関する基本的な知識は必須です。
面白いシステムですので、興味を持っていただいて学習を始めることをお勧めします。

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