ITの市場・統計・数字関連の資料作成方法・作り方

日本と世界のPCブラウザシェア

IT関連の仕事をしている方にとって、社内あるいは外部の顧客向けで必要となる

・製品やサービスの市場シェア
・特定のセグメントでの市場規模や売上額の予測
・実績の把握
・これまでの歴史や経緯

などの資料は、作成に手間がかかると思っている方は多いのではないでしょうか。
特に、エンジニアの方が作るとなると、技術的な資料と違う戸惑いもあるかもしれません。

確かに作成に手間がかかり、一言であらわすなら面倒くさい資料ではありますが、それらが資料の一部として加わると、専門性や説得力は増します。
つまり、提案や稟議などが採用される確度が確実に上がるのですが、作成自体は面倒ではあります。

【テンプレート】
そんなときに、参考にしていただきたいのは、テンプレートの利用です。
例えば、シェアであれば円グラフ、年度ごとの数値であれば棒グラフなど、だいたいパターンは決まっているのでテンプレート化できます。
あとは、それらを内容や時期に応じて更新をすればよいのです。

見せ方はだいたいパターンが決まっているとしても、問題はそれらの数値をどこから拾うかです。
つまり、「出典」をどうするかということですが、これもだいたい決まっています。

ここでよく使われる大元(出典)を一覧にしておきます。
これらの機関が提供してくれる情報の特徴を理解すると、数値が更新されるタイミングで取得すればいいので楽ちんです!

【各種数値の提供元】
・総務省
「情報通信白書」を代表として、情報通信に関するさまざまな統計資料を発行しています。

・IDC(アイディシー)
正式名称は、IDC Japan株式会社です。
各種の市場規模や売上額の予測などがあります。IDCの発表には「予測」の数値があるのでこれは助かります。

・経済産業省
業種や産業別の数値などがまとまっています。

・JEITA(ジェイタ)
一般社団法人電子情報技術産業協会(正式名称はご存じでしたか?)
半導体・エレクトロニクスから電子機器、IT、部品などの細かい話まで、各メーカーも参画しているので、かなり細かい数字が拾えます。

・IPA(アイピーエー)
独立行政法人情報処理推進機構。所轄官庁は経産省です。
ソフトウェア関連の調査に強みがあります。

・ガートナー
どちらかというと日本を含めて世界ということで、IDCと組み合わせて利用できます。

・矢野経済研究所
上記にはない情報があったりするので、念のため見てみることをお勧めします。

お勧めの例を挙げると、総務省の情報通信白書とIDC Japanの市場予測でしょうか。

令和2年版情報通信白書はこちら

IDCはサーバー、クラウドほかのITビジネスの市場の基本的な数値から、最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の調査結果も発表しています。
無料版と有料版がありますが、無料のダイジェスト版でも重要な数字を拾うことはできます。
この後で解説する国内のパブリッククラウドサービスの市場予測はそれらの数字を拾って作成しています。

このように、これらはさまざまなシーンで利用できます。


【資料作成のお手本】
上記の機関で各種の統計数値が発表されると、それを要約してわかりやすく教えてくれる団体です。
こちらは、Webでよく名前が出てくるので、名前だけ挙げておきます。

・日経グループ
・@IT/ITmedia
・EnterpriseZine/MarketZine(翔泳社グループ)
・インプレス
・ZDnet

などが挙げられます。
こららのWeb媒体の記事を見ると、数値の出し方やグラフのまとめ方はとても参考になります。
また、これらのほかには、XX総研のような調査機関、あるいはコンサルティングファームの提供資料も良いものがあります。


【資料の作成方法】
ここまでで、もうおわかりになったと思いますが、基本的には、「テンプレート」をもって置いて、
きちんとした「ソース」から数字を拾って資料に仕上げるということです。
まとめ方は、上記のような「お手本」があります。


【テンプレートの例】
テンプレートの例をみておきます。
ここでは、棒グラフと表を例に挙げます。棒グラフのほうは、よく見ると作成ノウハウというか、秘密があります。

<棒グラフの例>

国内パブリッククラウドの市場予測はこちら

こちらの棒グラフはIDC Japanの市場予測数値を参考にして作成していますが、よく見ていただくと、棒グラフの棒の数字はそれほど緻密ではありません。
吹き出しに数値が記載されているので、これらは単なる長方形の集合です。

<表の例>

日本と世界のブラウザのランキングとシェアはこちら

簡単な表ですが、パワーポイントで作成するときちんとして見えます。
また、こちらの表の例のもとになっているStatcounterはWeb技術を活用して最新の数値を示す現代的な調査方法です。


【別の観点でのお勧め】
これは、筆者の長年の経験からいえることですが、上記の統計や数値の予測に加えて、歴史や経緯、あるいは背景を整理した資料があると、専門性が一層際立ちます。
こちらも例を見てみましょう。
これは一例ですが、サーバーOSの歴史を示しています。

<年表の例>

サーバーのOSと歴史はこちら

統計資料に加えてこのような資料も加えることができれば、提案書の受け入れられる確度や社内の企画や稟議が通る確度は高まります。